「ショパンの即興曲とその背景」北村智恵 公開講座
2022年10月18日(火) 18:30~
カワイ梅田コンサートサロン「ジュエ」
19世紀のキャラクターピース名として「即興曲」を最初に作曲・出版したのは、ヴォジーシェクというボヘミアの作曲家です。また、偶然、ドイツ人作曲家マルシュナーが「即興曲」という呼称を使い始めたのも同年1822年でした。それらは、シューベルトの「即興曲」op.90やop.142が書かれる5年も前のことです。現代では、即興曲(アムプロンプチュ)というと一番にその名が思い浮かべられるほどのシューベルトでさえ、最初のop.90は「即興曲」として作曲した作品ではなく、出版する際に、出版社が勝手につけた呼称でした。それは、その頃の「即興曲」というものの定義が、如何に曖昧なものであったかを物語っています。それから数年経ち、当時の多くの作曲家たちが「即興曲」を多く書くようになり、ショパンも1834年に第1作として初めての即興曲(嬰ハ短調・遺作)を作曲したものの、彼は意としてそれを出版しませんでした。それは、彼の没後、親友フォンタナの手が加えられ「幻想即興曲」と名付けられて出版されたものですが、実際はショパン自身の出版ではなく、彼が正式に「即興曲」として出版したのは、その後の、op.29・op.36・op.51の3曲のみです。これらの事実から、彼にとっての「即興曲」とは何か、また、もともと即興の名手であり、あらゆるジャンルの作品にその即興性があふれているにもかかわらずあえて、「即興曲」と名付けて出版した彼の「即興曲」に対するコンセプトや共通点について、背景となる同時代の他者の作品と比較しながら検証してみたいと思います。
( ショパン協会会員・無料 / 一般・2,000円 / 学生・1,000円 )
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