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レッスンQ&A

Q19 「モペットちゃんのおはなし」の左手がうまくいかない

※『ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本』に関する質問
Q19

3巻の「モペットちゃんのおはなし」には、左手にも16分音符のすばやい動きが出てきますが、生徒が弾くと、特に左手の1-2-3-4-5の指づかいの音型で、音が重なって濁り、粒も揃いません。
曲のイメージから、速いテンポで弾きたがるのですが、どのように指導すればよいでしょうか。

(回答:北村智恵)
→この曲「モペットちゃんのおはなし」の学習目的は、その初出事項として導入されている16分音符と16分休符への理解、及び、その演奏です。逆説的な言い方をすると、この曲の演奏を通して、生徒は16分音符や16分休符というものを理解できるようになる、ということです。
 左手の16分音符の音が濁ってしまうということですが、それをどうみなすかということが、一人ひとりの生徒への「キー・ ポイント」となります。
 この曲を弾くにあたって、それぞれの生徒には、以下のいくつかのタイプの演奏が予測されると思います。
①16分音符のリズムが、4分音符の均等な4分割になっていない。
  (右手も左手もリズムくずれを起こしている段階)

②左手のみリズムくずれを起こす。

③16分音符の粒は揃っていて、右手の違いも弾き分けられるが、左手の違いが弾き分けられない。

④左右とも16分音符のリズムくずれはなく、両手ともの違いが弾き分けられてはいるが、16分音符の音階のところで両手とも音が濁ってしまう。

⑤リズムくずれはなくの違いも弾き分けられてはいるが、左手の音階のみ音が濁ってしまう。

⑥両手とも、リズムくずれもなく音の濁りもない。

以上①~⑤のうち生徒自身が、
●練習が足りないからそういう状態。
●練習は、年齢の割に丁寧によく努力しているが、2~3週間そのような状態でも、自分がなにができていないのかということが 自分の耳で判断できている。
このうちのいずれの状況にあるのかによって「みなし方」を決めます。
 つまり、⑥の場合は完璧な演奏であり、3~4週間でこのことが可能と予測が立つならできるまで待ちます。
 ①~③までの段階の場合、必ずできるまで、①②③とも妥協せずに必ずやりとげなければなりません。なぜなら、記号にあるアーティキュレーションの違いの読み取りが正しく音で表せなかったら、「メソッドとしての役割り」を果たしていない ことになります。「メソッド」とは、「演奏を通して楽典を学ぶ本」だからです。
 ④⑤の段階で、3~4週間かけても改善されない(音が濁ってしまう)ような状態であれば、そのこと(音が濁っているということ) の認識(=自分の音が自分の耳で聴けている)だけ持たせて、次のページに進みます。
 なぜならこの先は「技術」の問題であり、技術(テクニック)をつけるのは「エチュード」の段階ですることだからです。
 ④か⑤か、どちらまで求めるかということは、その子の力量や性格に合わせて、先生が決めるべきことと思います。
 要するに、「メソッド」と「エチュード」の目的の違いをわきまえて、どの段階をもって「できた」とみなすか、が、将来を見据えた指導に繋がるのではないかと私は考えています。
 ただし、生徒本人に、「音が濁っている」ことの知覚がなければ、その知覚(認識)を持たせるところまではやりとげなければなりません。
 その悔しさが向上心となり、エチュード期に入ったら、必ずや自分で求め、美しい音で歌わせて弾くことを生徒本人が努力する ようになると信じます。
 「自分への課題」を持って「エチュード」に進む──すばらしい導入ではありませんか?




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