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レッスンQ&A

Q13 同じ本を使っても良い?

※『ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本』に関する質問
Q13

子どもたちが初めて出会う「メソッド」に関して、北村智恵先生は昔から、兄弟姉妹では同じ本を使わないということをよく言っておられました。
私は、『ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本』は、きょうだいでも同じ本を使って教えたいのですが、それはいけないことなのでしょうか?

(回答:北村智恵)
→かつて私は、きょうだい関係だけではなく、近所どうしの子どもや、学校で同じクラスの子どもたち等にも、絶対同じメソッドは使わないということをモットーにしていました。
 そのことの主な理由は
①進度(ページが進むこと)に対する競争心が生れ、1曲1曲に時間をかけて「音楽」に没頭させることが困難になる
②耳から聴き覚えて弾いてしまい、読譜力が育たなくなる
③子ども本人に問題はなくても、親が進度を煽って競争させることが起こり得る
等です。
 そのことについての原因ははっきりしています。これまでの「メソッド」は、楽典を学ぶために、ただ、本(楽譜)に 書いてある音を鍵盤に移しかえる作業をするだけでマルがもらえる、つまり「正しく弾けたらマル」という内容にすぎず、誰もがページの進度によってしか評価されない、そういうあり方だったからです。習い初めの大切な時期に、そんな間違った 習い方、間違った練習の仕方、間違った心構えを身につけてほしくないから、きょうだいで同じ本を使うことは避けたかったのです。1曲1曲に没頭し、音楽性を身につけ表現力を身につけて「音楽する」ために、「競争」などあってはならないことだからです。
 さて、『ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本』は、1曲1曲に標題が与えられ、その標題や、その絵にふさわしいイメージを音に託して、つまり、音で何かを表現することが「音楽」というものであるということを、1巻の1曲めから学べるようになっています。すべての曲において「表現する」ことが目的となっていて、どんなにすらすらと正しく弾いても、イメージが伝わらないような音や演奏であれば、何週でも考え、感じ、創り直し、おさらいします。
 時には一緒に絵本を読んだり、楽譜についている絵を見て話合ったり、先生と生徒が共に創りあげていく世界やイメージは、一人ひとり異るはずです。もちろん「表現」のし方や音の微妙なニュアンスも一人ひとり違うと思います。それを引き出すことに、何週かかろうとも、「進度を競う」ことではなく、あえて言うならば、1つ1つの音や1曲1曲へのこだわり、──その音楽の「深さを競う」ことにしか繋がりません。それはむしろ良いことだと思います。ふさわしい音を出すために、必要な音を指の タッチで創る、思いどおりの表現ができるよう音質・音量・音色を変える、そのイメージのためにテンポ・アップして弾く、もっと歌のように、もっと踊りのように......etc.
 『ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本』なら、きょうだいで同じ本を使うことは、むしろそれぞれの発想の違い、表現の違いを 確認し合えて、お互いのためにもなることだと思います。(何より先生は、両方の生徒を、異る視点でほめることができて楽しい!)
 私は、自分の生徒には、きょうだいだけでなく、親子にも、祖母と孫にも、同じ『ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本』を使っています。共通の話題と比べ合いで、それぞれ「ピアノ友達」になりました。
 曲順の番号もついていない本です。しかも内容は「音楽すること」そのものの本です。競争になりようのない本ですが、もしもそうなってしまったとしたら、それは、指導者の側に問題があるか、指導力がないかのいずれかだと思います。
 本の内容を教えるのではなく、本の内容で教える、それが『ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本』の理念です。




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