ようこそ。ムジカ工房&北村智恵のWebサイトへ。

ムジカ工房は、音楽教育家・北村智恵をサポートする、小さなアトリエです。
北村智恵ピアノ教室、コンサートの自主公演、ピアノ指導者セミナー開催等、行なっています。

指導ポイント

1巻 スケートすべり/ブランコのり/こもりうた/めざめてジャンプ

スケートすべり(P.36)
 第1-2指と、第2-3指による2音のアーティキュレーション練習。2音によるアーティキュレーションは、手全体を上下したり手首を振って弾いてしまいやすいので要注意。(指導者自身にそういう打鍵癖のある人が結構多いのでくれぐれも留意)第1-2指の場合でも、第2-3指の場合でも、必ず、それぞれの指が第3関節からの上下運動で打鍵しているかどうかを確認する。また、手本を示すとき、生徒が目で見て「動作」を真似ることに陥らないよう、必ず目を閉じて「聴く」ことを促す。右手のC-D、左手のC-H、各2音ずつが繋がっているかどうか、繋がっていない2音も混じえて弾き(比較できるよう)、聴覚で判断させ、発見できるようにし向ける。
 レガートのことを、「つなげてひく」という表現で説明しても子どもは理解できない。「おとがつながってきこえるようにひく」のほうが、子どもにとってはより具体的である。ましてや近年の子どもたちのボキャブラリーの中に「なめらかに」という言葉はない。
 「ふつうのはやさ」というのは「速すぎない」「遅すぎない」と言えば理解できる。各音に、スラーもしくはスタッカートがついているが、4小節・8小節のC音には何もついていない(スタッカートではない)ことを読み取らせ、ふさわしい長さで弾いたあとにフレージング。アーティキュレーションとフレージングの違いを呼吸(とめる・すう)で教える。アーティキュレーションは曲に表情をつけるために切ることであり、フレージングはフレーズの切れめを表す。その違いや名前も教える。近年フィギア・スケートを目にしている子どもも多いので、リンクへの入場の際、スケート選手が左右交替で重心をかけて前進する姿を知っているからイメージしやすい。

ブランコのり(P.36)
 「スケートすべり」と同じメロディー、同じ指づかい、同じアーティキュレーションで書かれているが「とてもおそく」という表示のみが異るということを発見させる。すべて同じでも、テンポが違えば表す内容がすっかり変わってしまうということを体験させる。テンポの違いは表現上の大きなインパクトであることを知る。前曲と同じ曲なので遅いテンポで熊やカバがブランコに乗っている場面(2~3オクタ-ヴ下のキー・ポジションを「ここで」と指示する)や、小鳥がブランコに乗っている場面(2~3オクターブ上のキー・ポジションを指示)など、音色の変化でイメージを変えて楽しみ、飽きさせない工夫を。

こもりうた(P.37)
 4小節にまたがるスラー(長いレガート)は、あえて上下の向きを変えてあるので認識させる。右手から左手へ、左手から右手へ、と、フレージングの箇所以外すべてレガートに、人の声(ハミング)のように、やさしい音で弾く。子守歌は、やさしい声(音)の静かな音楽であることと共に、遅すぎるテンポは息が持たない(ワン・フレーズひと呼吸で弾けない)が、速すぎるテンポも子守歌にふさわしくない、ということなど、「音楽をつくる」姿勢の基礎を教える。簡単なメロディア・オスティナート(※)をオブリガートとして伴わせることも効果的。熊や象の子守歌も前例のように。



めざめてジャンプ(p.37)
 はずんだ元気の良い音で。「こもりうた」と対照的に。

 P.36-37の全4曲はすべて同じ曲だが、アーティキュレーションやテンポの違いで表す内容が全く異ってしまう(音楽とは音で何かを表現するもの)ということを体験する大切なポイントとなるページ。2つ以上(子どもの言葉では2つか、それよりたくさん)の、異る高さの(おなじせんやおなじかんではない)音についている弧線(まがったせん)は、すべてスラーという名前であることを教え、形や長さも種々あることを、見本となるいろいろな楽譜を見せて認識させる。これまでにマルカートとスタッカートの奏法を体験しているがそれらはすべて単独音の打鍵の瞬間(発音時の音)を聴く練習だったが、ここでは、ある音と別の音との関係――複数音の繋がり方や切れ方の聴きとりを学ぶ。打鍵(発音)時の音だけでなく、そのあと次の打鍵(発音)までの間その音を聴き続け、その音が切れる瞬間の聴き取り、さらに、切れてなくなってしまってから次の音が出てくるまでの間(ま)が正確であること等、正確な拍節感、正確なテンポの中で意識し続ける指導が何より大切。逆説的に言うと、これらの課題をこなすことにより、自分の音を集中して本気で聴く姿勢が養われ身につく。そしてそれはピアノの習い方の姿勢、練習のし方の基本であり、音楽とは音で何かを表現することという本質が自然に身につくよう仕組まれていることを信じて「音」を「楽」しむ指導を――。




前の記事→1巻 ドシドシいばりやマーチ/ドシドシぴょんぴょんマーチ
次の記事→1巻 ぬきあしさしあし/いばってあるく/あっおともだち!

MENU

ページのトップへ戻る