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ムジカ工房は、音楽教育家・北村智恵をサポートする、小さなアトリエです。
北村智恵ピアノ教室、コンサートの自主公演、ピアノ指導者セミナー開催等、行なっています。

指導ポイント

1巻 ティギーおばさんのおもいで/おんぷのながさ

ティギーおばさんのおもいで(P.55)
 前ページ(P.54「ティギーおばさんのおはなし」)では、タイでつながった2つのおんぷ()の長さが2拍分になるという、視覚からの理解のうえに立って、「2拍」を理解・認識できるようになったことに加えて、この曲では、その2拍に、もう1つがタイで繋がる(=と同じであること)を理解し、同様にであることやだけで表せるということを学ぶ。「ティギーおばさんのおはなし」も「ティギーおばさんのおもいで」も、単旋律を美しい音で歌わせて弾く、という最終目標を忘れないように。2拍・3拍・4拍という長さを正しく伸ばすという初めての課題はとても大切な体験ではあるが、音符の長さを正確に伸ばすこと(異なる音価により提示されている「リズム」の正確さ)のみに終始して、「正確に弾けたらそれで良し」としてしまう評価の仕方に陥らないよう、常に「音楽的」であることを求める姿勢を崩さないことも、もっと大切。を学ぶ曲なのに、なぜこれらの曲のタイトルが、「  ~のおはなし」「  ~のおもいで」となっているのかを考えさせる。「語ること」や「歌うこと」において大切な音量の変化(ディナーミク)は当然のこと、イメージした内容にふさわしい音質・音色・テンポなど、すべてが「表現」のために必要なことであり、今までの曲のように1音符1打鍵ではないので、が、1度打鍵してしまった音量をその音符の音価(長さ)内で変化させることはできないのだという「ピアノ」という楽器の致命的な特徴を認識させ、そのことを前提に、これまで以上に"フレーズとして音楽を捉えること"やそのためにディナーミクの設定が綿密であることが要求されるということを、指導者は「音楽的観点」を忘れず、しっかり伝え指導する。ピアノでなど長音符による旋律をレガートに、歌わせて弾くということが、究極の「テクニック」であるということを伝え、決して見た目で「易しい」「簡単!」と思ってしまうような生徒を生み出さないことは、もうこの段階で指導者の力量にかかってくる。端的に言うと、この曲で、長さを正確に弾けたら「はい、マル」としてしまう先生からは絶対「音楽的」な生徒は生れないと心しておかなければならない。それほど、「おはなし」「おもいで」に託されたものは大きい、ということである。この2曲を繋げて1曲と捉え、20小節の曲をディナーミクや音質、音色の変化等で表情豊かに音楽的に弾くという指示も有意義。そうして生徒が、用意された美しい音で、レガートに歌わせて弾いたとき、美しい音で豊かな和声の伴奏を付けて二人で共に、しみじみと味わい合える指導者でありたい。

おんぷのながさ(P.56-57)
 このメソードの最も大きな特徴の1つに、1音符1打鍵――1つの音を打鍵することで「拍感」を養う――という導入法が挙げられる。つまり、タイトルと絵のイメージから、その表現にふさわしいテンポを決め、音域は音が1つずつ増えて行くことで広がって行くが、音価は常に「ひとうちおんぷ」「ひとうちきゅうふ」だけでできた曲を弾き続けてきたことになる。「ティギーおばさんのおはなし」でタイを習い、「ひとうちおんぷ」と「ひとうちおんぷ」がつながったとき初めて「ふたうちぶんのばす」ということを体験し、実際に「2拍の長さ」を弾いたことになる。「ティギーおばさんのおもいで」で、3拍のばすことや4拍のばすことも理解して実際に弾いてみて、それらの長さを概念として持ち得たとき、などの相対関係が初めてきちんと理解できたと言える。その後、このページで音符の名前を知ることになるが、前ページまでに異なる音価を実際に弾くという「体験」を先にし、音符の名前等、「理論」(楽典)はその体験をあとから裏打ちする形で配列されているため、子どもにとっては、「全音符」「2分音符」「4分音符」「付点2分音符」「4分休符」の、名前そのものや、その意味も深く理解できる。




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